■リウマチ性疾患とは?
関節の腫れや痛みだけではない、全身に影響する自己免疫性の病気群
リウマチ性疾患とは、関節や筋肉、骨、内臓に炎症や痛みを引き起こす自己免疫疾患の総称です。代表的なものは関節リウマチで、関節が腫れたり、変形したりする病気として知られていますが、それ以外にも全身に症状を及ぼす疾患(例:全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎など)が多数含まれます。
免疫システムが誤って自分の組織を攻撃することで発症し、進行すると関節の破壊や内臓障害、日常生活への深刻な支障を来すことがあります。
■原因
自己免疫異常と遺伝・環境の複合要因が関与
リウマチ性疾患の正確な原因は不明ですが、以下の要素が複雑に関与していると考えられています:
- 自己免疫の異常:本来外敵を攻撃する免疫が、自身の細胞や組織を誤って攻撃
- 遺伝的素因:家族にリウマチ性疾患を持つ人がいると発症リスクが高まる
- 女性ホルモンの関与:女性に多く見られるため、性ホルモンとの関連も指摘
- ウイルスや細菌感染、ストレス、喫煙などの環境因子が発症の引き金に
- 長時間の冷え・過労・不眠なども悪化因子に
■初期症状
「朝のこわばり」と「関節の腫れ」は見逃せない初期サイン
- 朝起きた時に関節がこわばって動かしづらい(朝のこわばり)
- 手足の小さな関節(手首・指・足の指)が対称的に腫れ、熱を持ち痛む
- 疲れやすさ、微熱、食欲低下などの全身症状も現れる
- 日常動作(ペンを持つ、歯を磨く、靴を履く)が徐々に困難になる
- 早期の関節炎は、レントゲンでは異常が映らないこともある
この段階で受診し、血液検査や超音波などで早期診断ができれば、病気の進行を抑えることが可能です。
■重篤な症状・進行するとどうなる?
関節の破壊・変形だけでなく、内臓合併症も危険
- 関節の変形・機能障害(特に手指や膝・足)
- 肺、心臓、腎臓、皮膚、神経系への炎症が波及
- 強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎症候群などの重篤なリウマチ性疾患では、失明・呼吸不全・腎不全など命に関わるケースも
- 進行した関節リウマチでは、車椅子生活や寝たきりに至る場合もある
- 長期にわたる痛みや可動域の低下が生活の質(QOL)を著しく低下
■まとめ・予防と対策のポイント
- 早期発見・早期治療が何より重要
- 疑わしい症状がある場合は、リウマチ専門医(膠原病内科や整形外科)に相談
- 血液検査(RF、抗CCP抗体など)や画像診断(超音波、MRI)で診断
- 生物学的製剤や抗リウマチ薬(DMARDs)などでの進行抑制が可能
- 定期的な関節リハビリや運動療法、食事・生活習慣の見直しも有効