■痛風とは?
足の親指が突然腫れて激痛――「尿酸」が引き起こす関節の炎症
痛風とは、血液中の尿酸が結晶化し、関節にたまることで強い炎症と激痛を引き起こす病気です。
「風が当たるだけで痛い」と表現されるほどの激しい痛みが、特に足の親指のつけ根に突然発生するのが特徴です。
尿酸値の高い状態(高尿酸血症)が続くことによって起こるため、生活習慣病の一つとして知られています。
男性に多く、30代~50代の働き盛りで発症することが多いため、早期の生活改善と継続的な尿酸管理が重要です。
■原因
尿酸の過剰産生・排出障害による「高尿酸血症」が発端
- 尿酸とは、プリン体(細胞の代謝産物)の分解で生じる老廃物
- 通常は腎臓から尿として排出されるが、以下の理由で体内に蓄積する:
- プリン体の多い食事(肉類、内臓、魚卵、アルコール)
- 腎機能の低下や脱水
- 激しい運動やストレス
- 遺伝的体質(尿酸を排出しにくい)
- 尿酸が血中で増えると結晶化し、関節内に沈着して炎症を起こす
尿酸値が**7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」**と診断され、痛風発作のリスクが上がります。
■初期症状
足の親指のつけ根に、ある日突然やってくる激痛と腫れ
- 夜間や早朝に、足の親指のつけ根が突然腫れて激痛
- 痛みは1日〜数日でピークに達し、数日〜1週間程度で自然に軽快
- 関節が赤く腫れ、熱感を伴う(単関節性の急性関節炎)
- 歩けない・靴が履けないほどの激しい痛み
- 初回は足の親指が多いが、足首・膝・手指などにも波及することがある
この段階で医療機関を受診し、尿酸値の確認と炎症のコントロールを行うことが重要です。
■重篤な症状・進行するとどうなる?
慢性化・再発・腎障害――「痛風結節」と「生活習慣病の合併」が危険
- 放置や治療中断により、発作の頻度が増加し慢性関節炎に進行
- 痛風結節(白い尿酸の塊)が肘・膝・耳たぶなどに形成される
- 関節が変形・破壊されることもある
- 腎臓に尿酸が沈着し、尿路結石や腎機能障害を起こす
- 高尿酸血症は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・心血管疾患と深く関係
- 心筋梗塞や脳卒中のリスクを上げる生活習慣病の一要因にもなる
■まとめ・予防と対策のポイント
- 尿酸値は「痛風発作がない時」でも管理が必要
- 食事指導:プリン体・アルコール・甘い飲料の摂取を減らす
- 水分摂取を増やして尿による排泄を促す
- 尿酸値が高い人には、尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬を使用
- 再発予防のためには、薬物治療と生活習慣改善の両立が必要
- 定期的な血液検査と医師のフォローを継続することが大切