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変形性脊椎症とは?

~加齢によって背骨が変形し、痛みや神経症状を引き起こす疾患~

■ 概要

変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)とは、背骨(脊椎)に加齢や長年の負担などによって骨の変形や椎間板の変性が起こる疾患で、腰や首などに痛みやしびれなどの症状を引き起こします。

「変形性関節症」の脊椎版と考えると分かりやすく、特に**腰椎(腰)や頸椎(首)**に多く見られます。40代以降で徐々に進行し、60代以降では多くの方にレントゲン上の変化が見られます。

初期は無症状であることも多いですが、進行すると慢性的な痛みやしびれ、運動障害などを生じ、日常生活に支障をきたすこともあります。

■ 原因

変形性脊椎症の原因は主に**加齢に伴う退行性変化(老化現象)**ですが、以下のような要因が進行を早めると考えられています:

  • 加齢による椎間板の変性:椎間板が弾力を失うことで、骨同士が近づき摩耗が進みます。
  • 骨棘(こつきょく)の形成:骨が摩耗することで、関節部分に“とげ”のような骨ができ、神経を圧迫することがあります。
  • 姿勢不良や生活習慣:長年の猫背、デスクワーク中心の生活などが脊椎への負担を蓄積させます。
  • 肥満や運動不足:体重による圧迫や、筋肉の支えの弱さが変形を助長します。
  • 重労働やスポーツ歴:過去の職業やスポーツ活動によって、脊椎に過剰な負担がかかっているケースもあります。
  • 遺伝的要因:家族歴がある方では発症リスクが高まる場合があります。

■ 主な症状

変形性脊椎症は、どの部位に起きるかによって症状が異なります。ここでは、特に多い腰椎と頸椎の症状を中心に解説します。

腰椎(腰)に起きた場合(変形性腰椎症):

  • 慢性的な腰痛:特に朝方や長時間同じ姿勢の後に痛みが強くなる傾向があります。
  • 腰の動きの硬さ・こわばり:前かがみや後ろに反らすと痛みが強まる。
  • 足のしびれや違和感:骨の変形によって神経根が圧迫されると、下肢にしびれや放散痛が出ることがあります。
  • 歩くと足がだるくなる(間欠性跛行):脊柱管狭窄症を併発しているケースでは、歩行困難になることもあります。

頸椎(首)に起きた場合(変形性頸椎症):

  • 肩こり・首の痛み:慢性的な張り感や違和感。
  • 手や腕のしびれ・脱力:上肢への神経圧迫により発症。
  • 手指の細かい動作の障害:ペンが持ちにくい、箸が使いづらいといった症状も見られます。

多くの方が「年齢のせいだから仕方がない」と諦めてしまいますが、適切な治療を行えば痛みの軽減や進行の抑制が可能です。

■ 重篤な症状と注意すべきサイン

変形性脊椎症は基本的には徐々に進行する慢性疾患ですが、骨の変形や骨棘が神経や脊髄を強く圧迫するようになると、以下のような重篤な症状が現れることがあります。

  • 歩行障害が進行している
  • 足に力が入らず、つまずきやすい
  • 排尿・排便のコントロールが難しい
  • 両手の細かい動きに障害が出ている
  • 安静時にも強い痛みやしびれがある

これらは「脊髄症」や「神経根症」など、脊髄や神経の圧迫が進行しているサインです。早期のMRI検査と、必要に応じて手術を含む専門的な治療が必要です。


■ 「年齢のせい」とあきらめないでください

変形性脊椎症は、年齢を重ねた多くの方に見られる変化ですが、症状が出ている場合は「加齢現象」として片付けず、きちんと治療・リハビリを行うことで日常生活を快適に保つことが可能です。

当院では、以下のような診療を行っています:

  • 的確な診断(レントゲン・MRIなど)
  • 薬物療法による痛みの軽減
  • 物理療法(電気治療・温熱療法など)
  • 再発・進行を予防する生活指導

「長年の腰痛・首痛が治らない」「最近手足がしびれてきた」「歩くと足がだるくなる」といったお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。