扁平足とは?
扁平足とは、足の裏の「土踏まず(アーチ)」が低下または消失し、足の裏全体が地面に接するようになった状態を指します。通常、足の内側にはアーチがあり、歩行や立位の際に衝撃を吸収したり、バランスを保つ役割を果たしています。
しかし、扁平足ではこのアーチが潰れてしまうため、足への負担が増加し、膝・腰・姿勢全体に悪影響を及ぼす可能性があります。子どもから大人まで見られますが、大人になってから痛みや疲れとして現れるケースも多く見られます。
原因
扁平足の原因は、先天性(生まれつき)と後天性(成長・生活習慣による)の2つに分けられます。
先天性扁平足
- 生まれつき足のアーチ構造が弱い、または形成不全がある
- 乳幼児期には誰でも扁平足のように見えますが、通常は成長とともに改善します
後天性扁平足
以下のような生活習慣や体の変化により、アーチが崩れていくことがあります。
- 筋力の低下(特に後脛骨筋)
- 加齢や体重増加
- 長時間の立ち仕事や歩行の多い生活
- 運動不足や不適切な靴の使用
- 外反母趾や足の変形に伴うバランスの崩れ
特に女性や中高年に多く、「成人期扁平足」と呼ばれることもあります。
初期症状
扁平足が進行し始めると、次のような症状が現れます。
- 足の疲れやすさ・だるさ
長時間歩くと、足の裏やふくらはぎに疲労感を感じやすくなります。 - 土踏まずの痛みや違和感
足底の内側(アーチ部分)に圧迫感や軽い痛みが出ることがあります。 - かかとが外側に傾いて見える
靴のかかとが外側ばかりすり減ることも特徴のひとつです。 - 立ち姿勢が不安定になる
長時間の立ち仕事で足が安定せず、姿勢が崩れやすくなります。 - 歩き方がぎこちなくなる(歩行障害の前兆)
重篤な症状(進行または放置した場合)
扁平足を放置すると、以下のような全身のバランスに関わる深刻な症状が現れることがあります。
- 足首やかかとの慢性痛(後脛骨筋腱機能不全)
アーチを支える筋腱(特に後脛骨筋)が損傷し、歩行困難になることがあります。 - 膝痛や腰痛
足の崩れたアライメントが膝や腰の関節に波及し、慢性痛や姿勢異常を招きます。 - 外反母趾や足底筋膜炎の併発
扁平足に伴って足の構造がさらに乱れ、別の足部障害につながるケースも多くあります。 - 疲労骨折や靭帯損傷のリスク増加
スポーツ活動においても、衝撃を吸収できない足は故障のリスクを高めます。 - 歩行障害・変形性関節症
長期的には歩行バランスが大きく崩れ、股関節・膝・脊椎への影響も考えられます。
まとめ
扁平足は、一見すると単なる足の形の問題のように思われがちですが、足の疲れやすさ・膝や腰への負担・全身の姿勢バランスの崩れといった、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性がある症状です。
多くの方が気づかないうちに進行し、「足が疲れやすい」「歩くとすぐにだるくなる」といった初期のサインを見逃してしまいがちです。
しかし、早期に適切な対策(インソールの使用、足の筋力強化、靴の見直しなど)を行うことで、進行を防ぐことができます。
「最近、土踏まずがなくなったように感じる」「足元から体のバランスが崩れている気がする」という方は、一度専門機関で足の状態をチェックすることをおすすめします。