■閉塞性動脈硬化症(PAD)とは?
足の血管が詰まり、歩くと足が痛くなる―放置すれば命に関わる病気
閉塞性動脈硬化症(PAD)とは、足の動脈が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりすることで、血流が不足する疾患です。主に下肢(足)の血管に起こるため、「足の血管が詰まる病気」として知られています。
歩くと足が痛くなる(間欠性跛行)のが代表的な症状で、進行すると足の壊死や切断の危険もある深刻な病気です。糖尿病・高血圧・喫煙歴のある中高年男性に多く、早期発見と生活習慣の見直しが極めて重要です。
■原因
動脈硬化の進行による血流障害が根本原因
- 動脈の内側にコレステロールや老廃物が蓄積し、血管が狭くなる(動脈硬化)
- 血流が悪くなり、酸素や栄養が足先まで届かなくなる
- 主なリスク因子:
- 喫煙(最も強い要因)
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症(高コレステロール)
- 加齢・男性
- 心筋梗塞や脳梗塞など、他の動脈硬化疾患と併発することが多い
■初期症状
歩くと足が痛くなり、休むと治る ― 要注意なサイン
- 歩いているとふくらはぎや太もも、足先が痛くなる(間欠性跛行)
- 少し休むと痛みが引くが、再び歩くと痛みが出る
- 足先が冷たい、しびれる、感覚が鈍い
- 足の脈が触れにくい(足背動脈など)
- 足の皮膚が青白い、乾燥する、毛が抜けるといった変化も
この段階で診断・治療を開始すれば、生活習慣の改善や薬物療法で進行を抑えることが可能です。
■重篤な症状・進行するとどうなる?
足の切断、命に関わる重篤な合併症も
- 安静時にも足の痛みが続く(安静時疼痛)
- 足先に**潰瘍や壊疽(えそ)**ができて治らない
- 血流が極度に不足し、皮膚や筋肉が壊死することもある
- 最悪の場合、下肢切断が必要になる
- 心筋梗塞や脳卒中など、他の重大な血管疾患の前兆であることも多い
重症化したPAD(重症下肢虚血)は、1年以内に死亡または切断に至るリスクが非常に高いため、早期の医療介入が不可欠です。
■まとめ・予防と対策のポイント
- 喫煙者は禁煙が最も重要な予防策
- 糖尿病・高血圧・高脂血症のコントロール
- 有酸素運動や歩行トレーニングで血流改善
- 症状がある場合は、血管外科・循環器内科での診断(ABI検査など)
- 進行した場合には血管のバイパス手術やステント治療も選択肢