首筋の緊張性頭痛(テンションヘッドエイク)とは?
~「いつもの頭痛」が、実は首や肩の緊張からきているかもしれません~
■ 概要
緊張性頭痛(テンションヘッドエイク)は、日本人に最も多いとされる一次性頭痛(命にかかわらない頭痛)のひとつで、首・肩・後頭部の筋肉の緊張によって引き起こされる頭痛です。
特にデスクワークやスマートフォン使用などで長時間うつむき姿勢を続ける生活習慣が背景にあることが多く、慢性的な首こり・肩こりと密接に関係しています。
「頭が締め付けられるように重い」「後頭部やこめかみに鈍い痛みがある」「目の奥がじんわりと痛む」といった訴えが多く、肩や首をほぐすと症状が和らぐという特徴があります。
慢性的な痛みによって仕事や家事のパフォーマンスが下がり、時にうつ症状や自律神経の不調へとつながることもあります。
■ 原因
緊張性頭痛の直接の原因は、後頭部から首・肩にかけての筋肉(僧帽筋・後頭下筋群など)が緊張し、周囲の神経や血流が圧迫されることです。以下のような要因が発症に関係します:
- 長時間のデスクワーク・スマホ操作:前かがみ姿勢による首・肩の筋肉への過負荷
- 姿勢不良(猫背・ストレートネック)
- 精神的ストレス・不安・緊張:自律神経の乱れによって筋肉が収縮
- 目の酷使(VDT症候群)
- 運動不足・睡眠不足
- 歯の食いしばり・噛みしめ癖
これらの要因が重なることで、筋肉の血流が悪化し、痛みを引き起こす発痛物質が蓄積。その結果として、頭痛・重だるさ・集中力低下といった症状へつながります。
■ 主な症状
緊張性頭痛は、以下のような特徴を持つ「鈍く・締めつけられるような痛み」が中心です:
- 頭全体または後頭部が重く、締めつけられるように痛い
- 肩こり・首こりとセットで出る
- 目の奥が重だるくなる
- 朝よりも夕方・夜にかけて痛みが増す
- 吐き気はないが、イライラ・集中力低下を感じる
- 肩や首をマッサージすると軽減することがある
片頭痛のようにズキズキと脈打つような痛み、強い吐き気、光や音に過敏になる症状は少ないため、区別が可能です。
また、頸椎由来の神経圧迫(頚椎椎間板ヘルニア・頚髄症など)と区別が必要なケースもあります。
■ 重篤な症状と注意すべきサイン
緊張性頭痛自体は命にかかわる病気ではありませんが、以下のような症状がある場合は注意が必要です。頭痛の裏に他の疾患(くも膜下出血、脳腫瘍、脳血管障害など)が隠れている可能性があります:
- 突然発症した激しい頭痛(雷鳴のような頭痛)
- 今までにないタイプの頭痛が続く
- 言語障害・視野異常・手足のしびれや麻痺を伴う
- 発熱やけいれん、意識障害を伴う
- 高血圧や糖尿病、動脈硬化の持病がある方の頭痛
このような場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
■ 当院の診療アプローチ
当院では、「いつもの頭痛」が緊張性頭痛なのか、別の疾患によるものなのかを正確に見極めるため、丁寧な問診と身体診察、必要に応じて画像検査(レントゲン、MRI紹介)を行います。
治療の主なアプローチ:
1. 薬物療法
- 鎮痛薬(NSAIDs):痛みの緩和
- 筋弛緩薬:首や肩の緊張をほぐす
2. 理学療法(リハビリ)
- 姿勢改善トレーニング
- 温熱療法・電気刺激療法
- 呼吸法・セルフリラクゼーション指導
3. 生活指導
- ストレートネック予防の座り方
- 長時間作業中のこまめな休憩と体操
- 就寝環境の見直し(枕の高さ・寝具)
- PC・スマホの使い方の改善
■ 「頭痛くらい」と我慢しないでください
「いつもの頭痛」「肩こりからくるだるさ」など、つい我慢してしまいがちな緊張性頭痛。しかし、慢性化すると日常生活の質が大きく低下し、集中力や睡眠の質にも悪影響を与えます。
当院では、痛みの原因を根本から見極め、患者様一人ひとりに合わせた治療と生活改善の提案を行っています。
「いつも首から肩がガチガチ」「頭が重くて仕事に集中できない」などのお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。