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腰椎椎間板症とは?

~慢性的な腰痛の背景にある、見逃されがちな疾患~

■ 概要

腰椎椎間板症(ようついついかんばんしょう)は、腰椎(腰の背骨)にある椎間板が加齢や長期的な負荷により変性(劣化)し、慢性的な腰痛を引き起こす疾患です。椎間板がまだ突出して神経を圧迫するほどではない状態(=椎間板ヘルニアの手前)ですが、椎間板そのものに痛みの原因があるのが特徴です。

レントゲンやMRIで明らかな異常が見つかりにくく、“原因不明の慢性腰痛”とされがちなケースの多くがこの腰椎椎間板症に該当します。

ぎっくり腰のような急性の痛みではなく、「重だるい」「朝起きると痛む」「長時間座るとつらい」といった慢性・反復性の腰痛が特徴です。

■ 原因

腰椎椎間板症は主に加齢性の変化に起因することが多く、以下のような要素が発症に関与しています:

  • 加齢による椎間板の変性:椎間板は年齢とともに水分を失い、弾力性が低下し、亀裂やすり減りが起こります。
  • 長時間の同一姿勢:デスクワークや運転など、腰に一定の負荷をかけ続ける姿勢が原因に。
  • 繰り返される腰への負担:重量物の持ち運び、スポーツなどの動作の繰り返しで椎間板に微細損傷が蓄積します。
  • 筋力低下・柔軟性の欠如:体幹筋が弱くなることで腰椎を支えきれず、椎間板に過剰な負荷がかかります。
  • 姿勢不良や生活習慣:猫背や骨盤の歪みも、椎間板の偏った変性を促進する要因になります。

■ 主な症状

腰椎椎間板症は、以下のような慢性的な腰部の不快感や痛みが主症状です。

  • 鈍く、重い腰の痛み:鋭い痛みではなく、重だるさや鈍痛が中心。
  • 朝起きたときの腰のこわばり:動き始めると徐々に和らぐことが多いです。
  • 長時間の座位で悪化:座っている時間が長いほど痛みが強くなる傾向があります。
  • 立ち上がり・前屈みでの違和感:立ち上がり時や、身体を前に倒す動作で痛みが誘発されやすいです。
  • 慢性化・再発性:改善したと思っても、数週間〜数ヶ月後に再び症状が出ることもあります。

多くの患者さんが「レントゲンでは異常なしと言われたが、腰痛が続いている」と訴えます。これは、椎間板の内部の変性や炎症が画像に映りにくいためです。

■ 重篤な症状と注意すべきサイン

腰椎椎間板症自体は、命に関わるような重篤な病気ではありませんが、次のような症状がある場合は、椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症へ進行している可能性があるため注意が必要です。

  • 足にしびれや痛みが広がってきた:坐骨神経を圧迫する椎間板ヘルニアへ進行しているサインかもしれません。
  • 筋力低下や歩行困難がある:神経症状が出始めている場合、早期に精密検査が必要です。
  • 排尿・排便の異常がある:まれですが、馬尾神経の障害による重篤な症状の前兆である可能性があります。

このような症状がある場合、MRI検査による正確な診断と、専門的な治療が必要です。


■ 「原因不明の腰痛」にお悩みの方へ

腰椎椎間板症は、目に見える損傷が少ないため見逃されやすい一方で、多くの慢性腰痛の背景に潜んでいます。当院では、問診・触診・姿勢評価・必要に応じたMRI検査により、腰椎椎間板症の診断を丁寧に行い、患者様に合わせた治療法をご提案しています。

  • 痛みを和らげる薬物療法
  • 温熱・電気などの物理療法
  • 体幹筋の強化・ストレッチによるリハビリ
  • 生活動作・姿勢指導による再発予防

「はっきりした原因がわからない腰痛が続いている」「MRIでは異常がないと言われたがつらい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。腰椎椎間板症は正しく診断し、治療すれば改善が可能な疾患です。