「ある日突然、足の親指の付け根が赤く腫れ上がり、激しい痛みに襲われた」「風が当たるだけでも痛い」このような症状がある場合、「痛風(つうふう)」の可能性があります。

痛風は、血液中の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くことで、関節に尿酸の結晶がたまり、激しい炎症を引き起こす病気です。放置すると何度も発作を繰り返し、関節の変形や腎機能障害など深刻な合併症を招く恐れがあります。

急な関節の痛みにお悩みの方は、我慢せずに整形外科へご相談ください。


痛風の初期症状と前兆サイン

痛風発作は、何の前触れもなく突然起こるイメージがありますが、実は発作の前に「前兆」を感じる方も少なくありません。

注意すべき前兆・違和感 発作が起こる半日〜1日前に、以下のような違和感を覚えることがあります。

  • 関節がピリピリ、ムズムズする
  • いつもより関節が膨らんでいる(うっすら赤みがある)
  • 足に熱っぽさやこわばりを感じる これらのサインを見逃さず、早めに受診することで痛みの悪化を防げる可能性があります。

痛風発作の代表的な症状と痛む場所 本格的な発作が始まると、次のような症状が現れます。

  • 痛む場所: 足の親指の付け根(全体の約7割)。その他、足首、足の甲、アキレス腱、膝、手首など。
  • 痛みの特徴: 夜間から明け方にかけて突然発症し、24時間以内に痛みのピークに達します。「歩けないほどの激痛」を伴うことが多いです。
  • 期間: 適切な治療を行わなくても1〜2週間程度で自然に痛みは引きますが、病気が治ったわけではなく再発します。

痛風の主な原因と「高尿酸血症」

痛風の直接的な原因は「尿酸値の上昇(高尿酸血症)」です。 健康診断の血液検査で、尿酸値が「7.0mg/dL」を超えると高尿酸血症と診断されます。

なぜ尿酸値が上がるのか? 尿酸は、細胞の代謝や食事から取り入れた「プリン体」が体内で分解されてできる老廃物です。通常は尿や便と一緒に体外へ排出されますが、以下の理由で体内に蓄積してしまいます。

  1. 尿酸が作られすぎる(産生過剰)
  2. 尿酸がうまく排泄されない(排泄低下)

尿酸が溶けきれずに結晶化し、関節に沈着した状態のところに何らかの刺激(ストレス、激しい運動など)が加わると、白血球が結晶を異物とみなして攻撃し、激しい炎症(痛風発作)が起こります。


痛風になりやすい人の特徴(危険因子)

痛風は「30〜50代の男性」に圧倒的に多い病気ですが、近年は20代の若年層にも増加しています。以下の特徴に当てはまる方は要注意です。

食生活が乱れている(プリン体・アルコール)

  • レバー、白子、干物、青魚など「プリン体」を多く含む食品を好む。
  • ビールをはじめとするアルコール類をよく飲む(アルコール自体に尿酸値を上げる作用があります)。
  • 糖分の多い甘いジュースをよく飲む。

肥満・メタボリックシンドローム

特に「内臓脂肪型肥満」の方は、インスリンの働きが悪くなり尿酸の排泄が低下するため、痛風リスクが高まります。

ストレスや激しい運動

ストレスは尿酸値を上昇させる要因です。また、無酸素運動などの激しい運動をすると、体内でエネルギーが急激に消費され尿酸が多く作られます。

水分不足

汗をたくさんかいた後などに水分補給を怠ると、血中の尿酸が濃縮され、結晶化しやすくなります。


痛風発作が起きたときの正しい対処法

突然激痛に襲われた場合、慌てずに正しい処置を行うことが大切です。

応急処置としてやるべきこと

  • 患部を高くして冷やす: 濡れタオルや保冷剤(タオルで巻く)で患部を優しく冷やします。心臓より高い位置に保つと痛みが和らぎやすくなります。
  • 安静にする: 無理に動かず、患部に負担をかけないようにします。

やってはいけないNG行動

  • 患部を温める・マッサージする: 血流が良くなると炎症が悪化し、痛みが強くなります。入浴は避け、シャワー程度にしましょう。
  • 自己判断で尿酸値を下げる薬を飲む: 発作中に急激に尿酸値を下げると、結晶が剥がれ落ちてさらに痛みが激化します。必ず医師の指示に従ってください。

整形外科での痛風の検査と治療法

「痛風かな?」と思ったら、まずは関節や骨の専門家である整形外科を受診してください。

当院での検査内容

  • 問診・視診: 痛みの部位、腫れ、発症のタイミングなどを確認します。
  • 血液検査: 尿酸値や炎症反応を調べます。(※発作中は一時的に尿酸値が下がることがあるため、時期を見て再検査します)
  • X線(レントゲン)検査: 骨の異常がないか、または偽痛風や外反母趾など他の疾患との鑑別を行います。
  • 超音波(エコー)検査: 関節内の尿酸結晶の沈着状況を詳しく確認します。

痛風の治療ステップ

1. 発作期の治療(痛みを鎮める) 激痛がある間は、尿酸値を下げる薬は使いません。まずは「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」などの消炎鎮痛薬を使用し、炎症と痛みを徹底的に抑えます。前兆の段階であれば、「コルヒチン」を使用して発作を予防することもあります。

2. 安定期の治療(尿酸値をコントロールする) 痛みが完全に治まってから、本格的な治療を開始します。患者様のタイプ(尿酸産生過剰型・排泄低下型など)に合わせて「尿酸降下薬」を処方し、尿酸値を目標値(6.0mg/dL以下)までゆっくりと下げていきます。


痛風の予防と日常生活での対策(セルフケア)

薬の服用だけでなく、生活習慣の改善が痛風予防には不可欠です。

食生活の改善

  • プリン体を多く含む食品(内臓類、魚卵、干物など)の過剰摂取を控える。
  • 野菜、海藻、きのこ類を積極的に摂る(尿をアルカリ性に傾け、尿酸を排泄しやすくします)。
  • アルコールの休肝日を作り、適量を守る。

こまめな水分補給

尿量を増やして尿酸を体外へ洗い流すため、水や麦茶などで1日2リットル以上を目安に水分補給を行いましょう(甘いジュースはNGです)。

適度な有酸素運動

激しい筋トレではなく、ウォーキングや水泳、軽いジョギングなど、息が弾む程度の「有酸素運動」が尿酸値を下げるのに効果的です。


痛風に関するよくある質問(Q&A)

Q. 痛風は何科を受診すればいいですか?

A. 足の親指の付け根などに激しい痛みや腫れが出ている「発作中」は、整形外科をご受診ください。関節の異常か別の病気(偽痛風や化膿性関節炎など)かを正確に診断します。

Q. 痛みは数日で引きましたが、病院に行かなくてもいいですか?

A. 必ずご受診ください。痛風の痛みは1〜2週間で自然に消えますが、根本原因である「高尿酸血症」は治っていません。放置するとより強い発作が再発し、腎機能障害などに進行する危険があります。


痛風かも?と思ったら整形外科へご相談ください

痛風は「激痛に耐えるだけの病気」ではなく、背景にある生活習慣病のサインでもあります。 急な関節の痛みにお悩みの方や、健康診断で尿酸値の高さを指摘された方は、お気軽に当院までご相談ください。

専門医が正確な診断のもと、一人ひとりのライフスタイルに合わせた痛みのケアと、再発を防ぐための根本的な治療をサポートいたします。


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