シーバー病(踵骨骨端症)とは

成長期の子どもに多い、かかとの骨端部に生じる骨端症

シーバー病(正式名称:踵骨骨端症/かかとの骨端症)とは、成長期の子どもの踵骨(しょうこつ・かかとの骨)の骨端核(こつたんかく)に過剰な負荷がかかり、炎症や痛みが生じる疾患です。

成長期には骨の端に「骨端線(成長軟骨)」と呼ばれる柔らかい部分が存在します。この部分はまだ成熟しておらず、アキレス腱や足底腱膜からの繰り返しの引っ張りに弱いため、スポーツや運動量の多い子どもに発症しやすい疾患です。

シーバー病の基本情報

項目内容
別名踵骨骨端症(しょうこつこつたんしょう)
好発年齢7〜14歳(特に8〜12歳の小学生)
好発性別男の子にやや多い
主な痛みの部位かかとの後方・下方
悪化しやすいとき走る・ジャンプ・つま先立ち
検査所見X線で骨端核の不整像がみられることがある

知っておいてほしいこと:シーバー病は成長期が終われば自然に治癒する疾患ですが、痛みを無視してスポーツを続けると症状が長引き、日常生活にも支障をきたすことがあります。早めの対処が大切です。


シーバー病の原因

アキレス腱・足底腱膜の繰り返しの牽引が骨端核にダメージを与える

シーバー病の根本的な原因は、成長途上のかかとの骨端核への過剰な牽引ストレスです。

発症のメカニズム

かかとの骨(踵骨)の後部には、アキレス腱が付着しています。走る・ジャンプするたびにアキレス腱が収縮し、まだ柔らかい骨端核を繰り返し引っ張ることで炎症が生じます。

主な原因・リスク因子

① 急激な運動量の増加

スポーツの練習量が急増したとき(進級・入団・合宿など)に発症しやすい傾向があります。

② 硬い地面での運動

クッション性の低い地面(アスファルト・体育館の床など)での練習が多いと負担が増えます。

③ アキレス腱・ふくらはぎの柔軟性低下

ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)が硬いと、アキレス腱を通じてかかとへの引っ張りが強くなります。

扁平足・ハイアーチ(足のアライメント異常)

足のアーチの異常は、歩行・走行時のかかとへの負荷を増大させます。

⑤ クッション性の低い靴

靴底が薄く硬い靴は衝撃吸収が不十分で、かかとへの衝撃が大きくなります。

⑥ 急激な身長の伸び

骨が急速に成長する時期は骨端線が特に脆弱になり、発症リスクが高まります。

関連しやすいスポーツ

  • サッカー
  • 野球
  • バスケットボール
  • 陸上(短距離・跳躍)
  • 体操・新体操
  • バレーボール

シーバー病の症状

かかとの後方・下方の痛みと圧痛が特徴

よくある症状

  • かかとの後方〜下方が痛む
  • 運動中・運動後にかかとの痛みが増す
  • 朝一番の歩き始めにかかとが痛い
  • かかとを両側からつまむと痛い(踵骨圧迫テスト陽性)
  • つま先立ちをすると痛い
  • 走るときに足首をかばってびっこを引く
  • 練習中に途中で痛みが出て続けられなくなる

症状の経過パターン

段階状態
軽症運動後のみ痛む。翌朝には改善している
中等症運動中も痛み、パフォーマンスが低下する
重症日常生活(歩行・階段)でも痛みがある

注意が必要な症状

以下の症状がある場合は、シーバー病以外の疾患も疑われます。整形外科での検査をおすすめします。

  • 発熱・全身の倦怠感を伴う
  • かかと以外の関節も腫れている
  • 安静にしていても痛みが引かない
  • 夜間の強い痛みで目が覚める
  • かかとに明らかな腫れや変形がある

シーバー病と間違いやすい疾患

かかとの痛みには複数の疾患が隠れていることがある

疾患名シーバー病との違い
足底腱膜炎成人に多い。かかとの底面・朝の一歩目に痛みが強い
アキレス腱付着部炎かかとの後方、アキレス腱の付着部に限局した痛み
踵骨骨折(疲労骨折強い衝撃または繰り返しの負荷後に発症。X線・MRIで骨折線を確認
化膿性骨髄炎発熱・局所の発赤・腫れを伴う。早急な対応が必要
骨腫瘍安静時・夜間に痛む。腫れが続く。画像検査で確認
関節リウマチ(若年性)複数の関節が腫れる。朝のこわばりがある

成長期のかかとの痛みはシーバー病が多いですが、発熱・腫れ・夜間痛が続く場合は他の疾患を除外するため整形外科の受診が必要です。


シーバー病の診断方法

身体診察とX線検査が基本

シーバー病の診断は、特徴的な症状と身体所見で行うことができます。

当院で可能な検査

問診・身体診察

  • 発症のきっかけ(急な運動量増加など)・痛みの場所・時間帯を確認
  • 踵骨圧迫テスト:かかとを両側からつまんで痛みを確認(感度が高い)
  • アキレス腱の硬さ・足のアライメントの評価

レントゲン検査(X線)

  • 踵骨骨端核の不整・硬化像の確認
  • 骨折・骨腫瘍など他の疾患を除外
  • ※骨端核の不整像は正常な子どもにも見られることがあるため、症状と合わせて総合的に判断します

MRIについて

骨端核の浮腫・軟骨損傷の詳細評価に有用です。当院にはMRIは設置していませんが、必要な場合は近隣の医療機関へ紹介し、検査を受けられるよう調整します。


シーバー病の治療方法

運動量の調整と負荷軽減が治療の基本

シーバー病は成長が完了すれば必ず治癒する疾患です。治療の目的は、痛みを和らげながら骨端線への負担を減らし、スポーツへの早期復帰を支援することです。

① 安静・運動量の調整

痛みが強い時期は、原因となっている運動(特にランニング・ジャンプ)を一時的に制限します。完全な運動禁止は必ずしも必要ではなく、痛みの程度に応じて調整します。

② 薬物療法(当院で処方可能)

  • 痛み止め(内服薬):NSAIDs(消炎鎮痛薬)
  • 外用薬(湿布・クリーム剤)

③ 物理療法(当院で実施可能)

  • 電気治療:疼痛緩和・血行促進
  • 温熱療法:筋肉・腱の緊張緩和

※当院には理学療法士が在籍しておらず、ストレッチ指導・運動療法は行っていません。

④ インソール(足底板)の使用

かかとにクッション性のあるヒールカップ型インソールを使用することで、地面からの衝撃を吸収しかかとへの負担を軽減します。市販品でも効果が得られることがありますが、症状が強い場合は整形外科での相談をおすすめします。

⑤ 家庭でできるケア

ふくらはぎのストレッチ(就寝前・運動前後に)

アキレス腱・ふくらはぎの柔軟性を高めることで、かかとへの牽引ストレスを軽減できます。壁に手をついて行うカーフストレッチが有効です。

アイシング(運動後)

練習後に痛みや熱感がある場合は、15〜20分程度のアイシングで炎症を抑えます。


スポーツへの復帰の目安

「痛みゼロ」を確認してから段階的に復帰する

シーバー病でスポーツを続けるかどうかは、痛みの強さを基準に判断します。

痛みの程度スポーツの対応
痛みなし通常通り参加可
軽度(運動後のみ)量を減らして参加可。アイシングを実施
中等度(運動中も痛む)痛みが出る種目(走る・ジャンプ)を制限
重度(歩行でも痛む)運動を休止して受診

復帰のステップ

  1. 日常生活で痛みがない状態を確認
  2. ウォーキング・軽いジョギングから再開
  3. 方向転換・ジャンプなどの動作を段階的に追加
  4. 通常の練習に完全復帰

日常生活での予防・再発防止

再発させないために習慣化したいこと

練習前後のふくらはぎストレッチを必ず行う

アキレス腱・ふくらはぎの柔軟性を保つことが、最も効果的な予防策です。

クッション性の高い靴・インソールを選ぶ

靴底のクッションが十分な運動靴を選び、必要に応じてヒールカップ型インソールを使用しましょう。

急激な練習量の増加を避ける

合宿・大会前の急な練習強化は発症リスクを高めます。徐々に負荷を上げる工夫が大切です。

アスファルトなど硬い地面での練習を減らす

可能であれば、天然芝・人工芝・クッション性のある体育館フロアでの練習を増やしましょう。


こんなときは早めに受診を

整形外科への受診を検討すべき症状

  • かかとの痛みが2週間以上続いている
  • 痛みが強く、スポーツを続けられない
  • 歩行時にびっこを引くようになった
  • かかとに腫れや熱感がある
  • 発熱・全身倦怠感を伴う

緊急受診が必要な場合

  • 高熱(38℃以上)とかかとの腫れ・激痛が同時にある(骨髄炎・化膿性関節炎の疑い)
  • 強い衝撃の後から急に歩けなくなった(骨折の疑い)

東陽町・江東区で子どものかかとの痛みが続く方へ

東陽町周辺で「子どもがかかとを痛がっている」「スポーツができないくらいかかとが痛い」という場合は、当院にご相談ください。

当院ではレントゲン検査・身体診察でシーバー病の診断と他疾患の鑑別を行い、痛み止めの処方・電気治療・温熱療法などの物理療法が可能です。MRIや高度な治療が必要な場合は、近隣の医療機関・高次医療機関へ紹介する体制を整えています。


まとめ

シーバー病(踵骨骨端症)は、7〜14歳のスポーツをする子どもに多い、かかとの骨端核に生じる骨端症です。アキレス腱の繰り返しの牽引と衝撃による負荷が主な原因で、走る・ジャンプするとかかとが痛む症状が特徴です。

成長が完了すれば自然に治る疾患ですが、痛みを無視して続けると症状が長引きます。運動量の調整・ふくらはぎのストレッチ・クッション性の高い靴の使用が治療・予防の基本です。発熱・腫れ・夜間の強い痛みがある場合は他の疾患の可能性があるため、早めに整形外科を受診してください。


FAQ

Q1. シーバー病は何歳まで続きますか?

骨端線が閉鎖する14〜16歳ごろまでに自然に治癒します。それまでは再発を繰り返すことがありますが、成長が完了すれば痛みはなくなります。

Q2. シーバー病でもスポーツを続けていいですか?

痛みの程度によります。軽度であれば運動量を調整しながら参加可能です。歩行でも痛む場合は運動を休止し、整形外科を受診してください。無理に続けると症状が長引きます。

Q3. シーバー病は何科を受診すればいいですか?

整形外科を受診してください。レントゲン検査で骨折や骨腫瘍などの重篤な疾患を除外したうえで診断・治療を行います。

Q4. シーバー病に効くストレッチはありますか?

**ふくらはぎのストレッチ(カーフストレッチ)**が有効です。壁に手をついてかかとを床につけたまま前に体重をかけるストレッチを、運動前後と就寝前に行いましょう。

Q5. インソールはどんなものを使えばいいですか?

かかとをやさしく包むヒールカップ型のインソールが効果的です。薬局・スポーツ用品店で購入できる市販品でも一定の効果が期待できます。症状が強い場合は整形外科で相談してください。

Q6. シーバー病は両足に出ますか?

両足に発症することもあります。片側だけのこともありますが、片足だけに強い腫れや発熱がある場合は別の疾患を疑う必要があります。

Q7. シーバー病の痛みを早く治す方法はありますか?

確実に早く治す方法はありませんが、運動量の適切な調整・ふくらはぎのストレッチの習慣化・クッション性の高い靴の使用・必要時の物理療法によって症状の早期改善が期待できます。痛みを無視して運動を続けることが最も回復を遅らせます。

Q8. 成長痛とシーバー病はどう違いますか?

成長痛は夜間に両脚(ふくらはぎ・太もも)が痛み、朝になると消えるのが特徴です。一方シーバー病はかかとに限局した痛みで、運動中・運動後に悪化し、かかとを押すと痛みます。かかとだけが痛い場合はシーバー病を疑って整形外科を受診してください。

Q9. シーバー病は手術が必要になりますか?

シーバー病で手術が必要になることはほぼありません。保存療法(運動調整・物理療法・インソール等)で改善するため、手術を要するケースは極めてまれです。

Q10. 東陽町・江東区でシーバー病の診察を受けられますか?

当院(東陽町リハビリ整形外科クリニック)ではシーバー病の診察・レントゲン検査・物理療法が可能です。子どものかかとの痛みが続く場合は、お気軽にご相談ください。


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