自転車やスポーツでの転倒時に肩から地面に落ちた後、肩の上部に痛みや盛り上がりが生じることがあります。これは「肩鎖関節脱臼」の典型的な症状です。鎖骨と肩甲骨をつなぐ肩鎖関節が損傷することで生じるこの外傷について、当院の肩関節外来では、レントゲン検査による重症度の評価と、程度に応じた治療方針をご提案しています。
こんな症状に心当たりはありませんか?
- 転倒やスポーツでの接触の後、肩の上部が痛む
- 鎖骨の外側あたりが盛り上がって見える
- 腕を胸の前で組む動作(水平内転)で痛みが強くなる
- 患部を押すと強い圧痛がある
- 肩から自転車のハンドルなどに直接落ちた
- ラグビーや柔道などのコンタクトスポーツをしている
肩鎖関節脱臼とは
肩鎖関節は、鎖骨の外側の端と肩甲骨の肩峰と呼ばれる部分をつなぐ関節です。転倒して肩の外側を直接地面や物にぶつけるなどの外力が加わることで、この関節を支える靱帯が損傷し、鎖骨が浮き上がるように変形する状態を肩鎖関節脱臼と呼びます。
主な原因
自転車やバイクからの転倒、ラグビーや柔道、アメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツでの接触、スキー・スノーボードでの転倒などが主な原因です。肩の外側を直接地面や相手にぶつける機序で起こることが多いとされています。
発症しやすい方の特徴
コンタクトスポーツを行う方、自転車やバイクに乗る機会が多い方に多くみられます。比較的若く活動的な世代での発症が多い傾向にあります。
主な症状
軽度の場合
肩鎖関節周囲の痛みと圧痛が中心で、目立った変形がみられないこともあります。
中等度〜重度の場合
靱帯の損傷が大きくなるにつれ、鎖骨の外側が浮き上がって見える「段差変形」が明らかになります。腕を組む動作や挙上動作で痛みが強く出ることが特徴です。
当院での検査・診断の流れ
問診・視診・触診
受傷機転(どのように転んだか、ぶつけたか)を確認し、肩鎖関節部の圧痛、変形の程度、腕の動きによる痛みの誘発を評価します。
画像検査
レントゲン(X線)検査
鎖骨と肩甲骨の位置関係を確認し、損傷の重症度を分類します。必要に応じて、負荷をかけた状態での撮影を行うこともあります。
必要に応じた追加検査
靱帯損傷の詳細な評価が必要な場合は、MRI検査が可能な連携医療機関をご紹介することがあります。
当院での治療方針
損傷の程度(軽度〜重度)によって治療方針が異なります。
保存療法(軽度〜中等度の場合)
薬物療法
内服薬
痛みや炎症を抑える消炎鎮痛剤を、症状に応じて処方します。
装具療法
三角巾やバンドによる固定で肩を安静に保ち、靱帯の修復を促す方法をご案内しています。テーピングによるサポートを行うこともあります。
手術が必要な場合(重度の場合)
靱帯の完全断裂を伴う重度の脱臼では、変形や機能障害が残る可能性があるため、手術的治療が検討されることがあります。当院で手術は行っておりませんが、状態に応じて信頼できる専門医療機関をご紹介いたします。
ご自宅でできるセルフケア・生活上の注意点
日常生活で気を付けたいこと
固定期間中は指示された範囲での安静を心がけ、腕や手指は動かせる範囲で動かすことで、こわばりの予防に努めましょう。
避けたほうがよい動作・NG習慣
固定が外れる前に自己判断で重い荷物を持つ、腕を大きく振る動作を行うことは、治癒を妨げる可能性があるため避けてください。
肩関節外来について
肩関節外来では、肩鎖関節脱臼のほか「腱板損傷」「五十肩(関節周囲炎)」「石灰沈着性腱板炎」など、肩に関わる疾患を幅広く診療しています。スポーツや転倒によるケガ全般については「スポーツ外来」もあわせてご確認ください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 変形が残ってしまいますか?
損傷の程度によっては、保存療法で治療した場合に軽度の段差変形が残ることがありますが、多くの場合、機能面への大きな影響は少ないとされています。気になる場合はご相談ください。
Q2. どのくらいの期間固定が必要ですか?
損傷の程度によって異なります。診察の上で個別に固定期間の目安をご説明いたします。
Q3. すぐにスポーツに復帰できますか?
靱帯の修復には一定の期間が必要です。自己判断での早期復帰は再受傷のリスクがあるため、経過を見ながら復帰時期をご相談ください。
受診をご検討の方へ
転倒後に肩の痛みや変形がある場合は、できるだけ早くご相談ください。レントゲン検査で損傷の程度を確認し、適切な治療方針をご提案いたします。ご不明点あればお電話にてお気軽にお問い合わせください。