「少し歩くと足がしびれて痛くなるが、少し休むとまた歩けるようになる」——このような症状は、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)に特徴的な「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼ばれるものです。加齢に伴い神経の通り道が狭くなることで生じるこの疾患について、当院の腰痛外来では検査による評価と、生活に寄り添った保存療法をご提案しています。
こんな症状に心当たりはありませんか?
- 歩き続けると足がしびれ・痛みで歩きにくくなる
- 少し前かがみで休むと再び歩けるようになる
- 自転車には比較的長く乗っていられる
- 腰を反らすと足の症状が強くなる
- お尻から太もも・ふくらはぎにかけてしびれがある
- 65歳以上で徐々に歩行距離が短くなってきた
脊柱管狭窄症とは
脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が加齢による変化で狭くなり、神経が圧迫されることで、腰やお尻から足にかけての痛み・しびれを引き起こす疾患です。歩行時に症状が悪化し、前かがみで休むと軽快する「間欠性跛行」が特徴的な症状として知られています。
主な原因
加齢に伴う椎間板の変性や骨の変形、靱帯の肥厚などが複合的に重なり、脊柱管が徐々に狭くなることで発症します。長年の姿勢の癖や、これまでの腰への負担の蓄積も関与すると考えられています。
発症しやすい方の特徴
60代以降に多くみられ、加齢による変化が主体となる疾患です。長時間の立ち仕事や農作業など、腰に負担のかかる仕事を長く続けてこられた方にも多い傾向があります。
主な症状
初期の症状
腰の痛みやこわばりから始まり、次第に歩行時に足のしびれ・痛みを感じるようになります。安静時にはあまり症状を感じない方も多くいらっしゃいます。
進行した場合の症状
歩行できる距離が徐々に短くなり、間欠性跛行が明らかになります。進行すると、安静時にも足のしびれが残る、足に力が入りにくくなるといった症状がみられることもあります。
当院での検査・診断の流れ
問診・視診・触診
歩行時の症状の出方、休憩でどの程度回復するか、腰を反らした際の症状の変化などを詳しくお伺いし、下肢の筋力・感覚・反射を確認します。
画像検査
レントゲン(X線)検査
腰椎の変形や配列、椎間板腔の狭小化などを確認します。
必要に応じた追加検査
脊柱管の狭窄の程度を正確に評価するにはMRI検査が有用です。当院では連携医療機関をご紹介し、精密検査を受けていただける体制を整えています。
当院での治療方針
保存療法
多くの脊柱管狭窄症は、手術によらない保存療法で症状のコントロールが可能です。
薬物療法
内服薬
血流を改善し歩行時の症状緩和を助けるプロスタグランジン製剤、炎症や痛みを抑える消炎鎮痛剤、神経の痛みに対する神経障害性疼痛治療薬などを組み合わせて処方します。
外用薬・貼付薬
腰やお尻の痛みに対して、湿布や塗り薬を併用することもあります。
注射療法
痛みが強い場合には、神経ブロック注射などの選択肢についてご説明し、必要に応じて対応可能な医療機関と連携いたします。
装具療法
腰椎コルセットの着用により、姿勢の安定と腰への負担軽減を図る方法をご提案することがあります。
手術が必要な場合
歩行距離が著しく短くなる、足の麻痺や排尿・排便障害を伴うなど、日常生活に大きな支障が出ている場合には手術が検討されます。当院で手術は行っておりませんが、状態に応じて信頼できる専門医療機関をご紹介いたします。
ご自宅でできるセルフケア・生活上の注意点
日常生活で気を付けたいこと
前かがみの姿勢は症状を軽減しやすいため、杖やシルバーカーの利用、自転車の活用など、無理のない範囲で活動量を保つ工夫が生活の質の維持につながります。
避けたほうがよい動作・NG習慣
腰を大きく反らす動作や、痛みを我慢して長距離を無理に歩き続けることは症状の悪化につながる可能性があるため注意しましょう。
腰痛外来について
腰痛外来では、脊柱管狭窄症のほか「腰椎椎間板ヘルニア」「変形性腰椎症」など、腰やお尻・足の症状に関わる疾患を幅広く診療しています。歩行時の足の症状にお悩みの方も、まずはご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 間欠性跛行とはどのような症状ですか?
歩き続けると足のしびれや痛みが強くなり歩きにくくなるものの、前かがみで少し休むと再び歩けるようになる症状です。脊柱管狭窄症に特徴的な所見とされています。
Q2. 加齢によるものなので仕方がないのでしょうか?
加齢による変化が背景にありますが、薬物療法や生活の工夫によって症状をコントロールしながら、活動的な生活を維持できる方も多くいらっしゃいます。まずはご相談ください。
Q3. どのような場合に手術を考えるべきですか?
歩行距離が著しく短くなり生活に支障が出ている場合や、保存療法で十分な改善がみられない場合には、手術も選択肢の一つとなります。状態に応じて専門医療機関と連携してご案内します。
受診をご検討の方へ
歩行時の足のしびれ・痛みでお困りの場合は、我慢せず一度ご相談ください。問診と画像検査で原因を見極め、症状に合わせた治療方針をご提案いたします。ご不明点あればお電話にてお気軽にお問い合わせください。