手首や指の甲側に、コリコリとした弾力のあるしこりができた——このような症状の多くは「ガングリオン」と呼ばれる良性の腫瘤です。関節や腱の周囲にできるゼリー状の内容物を含む嚢腫で、痛みを伴わないことも多い一方、場所によっては神経を圧迫し症状が出ることもあります。当院の手の外来では、症状の有無に応じた治療方針をご提案しています。
こんな症状に心当たりはありませんか?
- 手首や指の甲側にコリコリしたしこりがある
- しこりの大きさが日によって変わる気がする
- しこりを押すと痛みがある、あるいは全く痛みがない
- 手首を曲げるとしこりが目立つ、または動かしにくい
- しこりの部分がしびれる、指先の感覚が鈍い
- 足の甲にも似たようなしこりがある
ガングリオンとは
ガングリオンは、関節包や腱鞘(けんしょう)から染み出たゼリー状の粘液が袋状にたまることで生じる良性の腫瘤です。手首の甲側に最も多くみられますが、手のひら側、指、足など様々な部位に発生することがあります。悪性のものではなく、多くは経過観察のみで問題ないとされていますが、大きさや場所によっては症状が出ることもあります。
主な原因
はっきりとした原因は完全には解明されていませんが、関節や腱への繰り返しの負担、外傷などがきっかけとなることがあると考えられています。特定の作業やスポーツをしていない方にも発生することが少なくありません。
発症しやすい方の特徴
比較的幅広い年代にみられますが、10〜30代の女性にやや多い傾向があります。手首を酷使するスポーツや作業を行う方にもみられることがあります。
主な症状
症状がない場合
多くのガングリオンは痛みを伴わず、しこりに気づいた以外に症状がないことも珍しくありません。
症状がある場合
しこりが神経を圧迫すると、しびれや感覚の鈍さが生じることがあります。また、しこりの場所によっては関節の動きに違和感を覚えたり、押すと痛みを感じたりすることもあります。
当院での検査・診断の流れ
問診・視診・触診
しこりに気づいた時期、大きさの変化、痛みやしびれの有無を確認し、しこりの弾力性や可動性、圧痛の有無を評価します。ガングリオンは特徴的な性状を持つため、視診・触診で診断できることが多い疾患です。
画像検査
必要に応じた検査
他の腫瘤との鑑別が必要な場合には、超音波検査が可能な連携医療機関をご紹介することがあります。ガングリオンは内部が液体であるため、超音波検査で特徴的な所見が得られます。
当院での治療方針
経過観察
痛みなどの症状がなく、日常生活に支障がない場合には、無理に治療をせず経過を観察することも一つの選択肢です。自然に小さくなったり消失したりすることもあります。
保存療法
穿刺・吸引
しこりが大きい、痛みや神経症状がある場合には、針を刺して内容物を吸引する処置を行うことがあります。
薬物療法
外用薬
痛みがある場合には、消炎鎮痛効果のある外用薬をご案内することがあります。
手術が必要な場合
穿刺・吸引を行っても再発を繰り返す場合や、症状が強く生活に支障がある場合には、袋ごと摘出する手術が検討されることがあります。当院で手術は行っておりませんが、状態に応じて信頼できる専門医療機関をご紹介いたします。
ご自宅でできるセルフケア・生活上の注意点
日常生活で気を付けたいこと
痛みや神経症状がない場合は、特別な対応をせず様子をみていただいて構いません。気になる変化があれば記録しておくと診察の際に役立ちます。
避けたほうがよい対応
自己判断でしこりを強く押しつぶす、市販の器具で処置しようとすることは、炎症や感染のリスクがあるため絶対に避けてください。
手の外来について
手の外来では、ガングリオンのほか「ばね指」「ヘバーデン結節」「狭窄性腱鞘炎」など、手や指の疾患を幅広く診療しています。しこりの正体が分からず不安な場合も、まずはご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 悪性の可能性はありますか?
ガングリオンは良性の腫瘤であり、悪性化することは基本的にありません。ただし、他の腫瘤との鑑別が必要な場合もあるため、気になる場合は診察を受けることをおすすめします。
Q2. 自然に潰れることはありますか?
まれに、しこりに強い力が加わることで自然に内容物が周囲に散らばり、小さくなることがあります。ただし再発することも多く、自己判断での処置はおすすめしません。
Q3. 吸引した後、また同じ場所にできることはありますか?
はい、穿刺・吸引後に再発することは珍しくありません。再発を繰り返す場合には、手術による摘出が選択肢となることがあります。
受診をご検討の方へ
手首や指のしこりが気になる場合、痛みやしびれを伴う場合は、一度ご相談ください。症状に応じた治療方針をご提案いたします。ご不明点あればお電話にてお気軽にお問い合わせください。